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うなぎ関係ない名前のふたりがお送りする鉄道路線擬人化二次創作(紙端国体劇場様)ぶろぐ。
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久しぶりに創作UP。
これ書き始めたのは3/11~12頃、サーベラス関連の報道が出始めた頃だったのに
気がついたら旬になるくらいHOTな話題になっちゃってどうしようって感じ。
書き逃げ出来る段階を超えちゃってる気がしたけど、
さらに言えば安比奈が話してる「おはなし」と彼の論点に接点があるのかどうかすらも分からないけど
保護者安比奈が書きたかったから書いた。
反省はしなくもない。

次は花が散る前に北陸東海道で花見ネタをUPりたい。

+ + + + + + + + + +
がらがら‥‥
秩父の山間に日が沈んで数刻。家の戸を開ける音に、安比奈が台所から顔を出す。
「珍しいな、お前一人か?」
玄関口に立っていたのは、西武の最年少    西武有楽町。
普段は池袋か西武秩父と共に帰宅する彼が、珍しく単独でいることに安比奈は仮面の下で眉間に皺を寄せた。
「きょうは、みんな、はなしあいでおそくなるからさきにかえるようにいわれました‥‥」
そういえば   今日は賑やかしい新宿路線組も誰ひとり帰宅していないことに気づく。
『‥‥確か、何日か前に外国の出資元が何か口出ししてきたとか言ってたな‥‥』
それに関わることか、ほかに理由があるのか   運行業務に関わっていない安比奈にはわからない。
「じゃあ、先に二人でメシにするか。今日は天プラだぞ、イモとソーセージ(魚肉)とイカと‥‥それから多摩川がこないだ摘んできたタラの芽。もうすぐ全部揚がるから着替えてこい」
だから、何も知らない顔をして菜箸を上下に振った。
「‥‥なにかてつだえることはありますか?」
「ん。大根おろして欲しいな」
「はい!わかりました」
「先に洗面所で手を洗ってくるんだそ」
ぱたぱたと足音を立てて廊下を過ぎるのを眺めてから、安比奈は再び台所に戻る。
数分後、私服に着替え手洗いを済ませた少年に桂剥き済みの大根とおろし金を渡し、二人並んで夕餉の支度を進める。
大量の具材を揚げ終わっても、大根1本分おろし終わっても。
安比奈と西武有楽町がちゃぶ台を囲って食事をしている最中も   結局、誰ひとり帰宅しなかった。
「不安か、西武有楽町」
夜11時を回っても、屋内人口に変化の兆しは見えず   安比奈の家事を手伝う西武有楽町の顔は浮かない。
表情も口も重い少年の顔を安比奈が覗き込む。
「そうじゃない、です。わたしが、みんなの話し合いに混ぜてもらえないのは‥‥わたしが、こどもだからでしょうか」
尋ねられて、西武有楽町はふるふると首を横に振る。
確かに、自分はまだ未熟だし   大人たちの話題すべてを理解できるわけではない。
だけど、自分もずっと    会長を信奉する、西武の一員なのに

「‥‥ある時、ある牧場で三匹の仔馬が生まれた」
肩を落とす最年少の姿を眺めることしばし。安比奈はおもむろに口を開く。
「あひな?」
突然始まった安比奈の「おはなし」に、西武有楽町は首を傾げた。
「一番上の馬は足が速くて、二番目の馬は体が大きかった。だが三番目の馬は身体が弱く、取り柄がなかった」
だが、安比奈は構わず話を続ける。

一番目と二番目は大人になるとすぐに仕事を与えられたけれど、三番目の馬は体が弱かったから
頭をなでられるばかりで仕事ができず“自分が何の役にも立てない”ことを悲しく思っていた
一番目も二番目も、三番目を疎ましく思ってなどいなかった。
帰る場所で   体を休める場所で待っているだけで十分だと
だが、その言葉は三番目の馬にとって気休めにもならなかった

「西武有楽町。時刻通りに運行し、人を運ぶことが出来ると言うのは幸せな事だ」
「はい」
「お前には立派な役目がある。その重さは、距離が短い(こども)ことなんて関係ないんじゃないか?
その責任を果たす努力、お前はちゃんとしているんだろう?」
「はい」
「なら、今はそれを大事にしろ。他の奴らだって、お前を仲間だと認めていないわけじゃない。ただ、それでも‥‥聞かせたくない話ってのはあるもんだ。」
仕事を与えられない存在だからこそ解る話もあるかもしれんし、な
ぽつりと呟いた言葉を聞いて、西武有楽町の顔があからさまに曇る。
「あひな‥‥」
大きな目を見開き、潤ませて。ごめんなさいと呟く西武有楽町に慌てて手を横に振った。
「悪ィ、西武有楽町!そ、そういう意味じゃないんだ!」
慰める  というよりも気を紛らわすつもりで話を始めたのに。うっかり漏らした本音が末っ子の心を苛んでしまった事に気づいて、自分の大人げなさに自己嫌悪。
「‥‥えっと、つまりだな、路線や接続先が違えば色々な問題や悩みが出るもんだ。池袋達がお前を混ぜないのは子供だからじゃなくて‥‥お前が持たない悩みを見せたくないとかそういうのかもしれないって話だ!」
最年少だからではなく。たとえ他社との接続に依存していても、業績が順調な路線には見せたくない
そんな面もあるのだと。
安比奈に言われ、西武有楽町はこくりと小さく頷く。
「つまんない話して悪かったな。今日はもう遅い。他の奴らは何時に帰ってくるかわからないし、お前はもう風呂に入ってお休み」
俺としては西武有楽町の不安もわかるんだけどな
ぽんぽんと栗色の頭を軽く叩いて、仮面の下で苦笑いを浮かべる。
「‥‥あひな」
「うん?」
「さっきのおはなし‥‥さんばんめのうまは、どうなるんですか?」
まだ、ほんの少し物憂げな瞳でそう問われ、安比奈は少し沈黙する。
この話は、たまたまラジオで聞いた創作童話で    三番目の馬は死ぬことで自らの存在価値を見出すというオチだった。
西武有楽町に話すには些か相応しくなかったかもしれない、という後悔が過る。
「続きは‥‥また明日、してやるよ。」
どうせ創作だし、童話昔話に歪曲はつきものだし     明日までに適当にでっちあげればいいか。
そんなことを考えながら、安比奈は部屋へ戻りかける西武有楽町の背中を押した。


夢見月さま配布「夜更し」より「物語の続きはまた明日」
http://aoineko.soragoto.net/title/gallery.html
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