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うなぎ関係ない名前のふたりがお送りする鉄道路線擬人化二次創作(紙端国体劇場様)ぶろぐ。
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東京駅   高速鉄道たちが利用する休憩室へ通じる廊下で。
「東海道先輩!」
憧れでもあり、情熱を向ける先輩に顔を合わせた瞬間、頬を緩ませて駆け寄る北陸。
だが、3年前    長野と呼ばれていた頃ならともかくも、延伸した今の彼からのあからさまな好意は正直ぞっとしないようで。
あと1、2メートルという距離まで近づいてきた彼に、東海道はびしっと手のひらを突き出して待ったをかける。
「以前も言ったはずだが…収益を競う以上、これ以上の馴れ合いは避けたい、と」
特に、JR東海は彼自身の他にもリニアという西日本へ至る運行ルートがあるのだ。
情けをかけるつもりなど更々ないが、好意だけでなく業務に関わる打算や計略も絡めてアプローチしているのではないか
    むしろ、愛情ゆえではなくそういった策略からの接触なのではないか、と。
東海道はそんな危機感と疑惑を抱いていた。
「東海道先輩、僕のことを意識してくれるのは嬉しいですけど…それは杞憂ですよ」
疑心と警戒を隠しもしない態度をものともせずに。まるで問題ない、と北陸はにっこりと笑って断言する。
「……何故だ?」
『意識する』という言葉の意味が自分と彼とでは天と地ほどの齟齬がありそうなきがしつつ。
そこには敢えて触れずに追及する。
「だって、先輩のリニアって効率性重視で路線も駅もすごく殺風景じゃないですか。その点僕は時間がかかるけど景観も駅の印象も大事にしていますので、客層かぶらないと思いますし。むしろ、いいコンビになると思いますよ?」
時間重視と、旅情重視。
そう言って、東海道と自身を交互に指差す。
「役割分担というやつですね。お客様のニーズに合わせた運行、素敵じゃないですか」
あとは接続して運命共同体になれたら完璧ですよね
隙をついて制止の手をすり抜け   抱きすくめられて。
東海道は反射的にその腕を振り払い、半ば駆け足で北陸の横をすり抜ける。
「あっ」
「馬鹿馬鹿しい。つきあってられん」
惜しむような呟きを無視して、北陸を置いて歩みを続ける。
確かに、リニアの売りは短時間の長距離移動だ。利便性以外追求などしていないし駅の設置による地域おこしなども眼中にない。
だが、開き直る北陸の言い分には何故か   むかついた。
頬が赤く火照る己を自覚しながら   策謀で接触される方がまだましだと東海道は思った。
「あ。こんにちは、山陽先輩」
手の届く範囲から逃げられたときは深追いしない。
勇み足で遠ざかる東海道の背中を見送りながら、彼と入れ違いに姿を見せた山陽に呑気な挨拶を交わす。
「…お前、本当にすごいよなぁ」
いつ、どの時点から目撃していたのだろうか。
あれにあそこまで積極的になれるのはすごいことだと、山陽はため息混じりに感嘆する。
「そうですか?僕はあぁいうところも先輩の魅力なのだと思っていますけれど」
山陽にとって、東海道は扱いが厄介な接続相手なのだと察して北陸は密かに安堵しつつ応じる。
ライバルは少ないほうがいい。
「あばたもえくぼ、ってやつ?」
「というより、それも好みというべきですかね。潔癖で、素直で…とてもわかりやすいじゃないですか。山陽先輩みたいに誰にでも人あたりがよくて優しい方が、特別だと自信を持てるようになるのが大変だと思います」
潔癖はともかく、素直と呼べるかはよくわからない気がする
だが、わかりやすいという点ではそう言えなくもないか、と山陽は納得することにした。
「山陽さん、それほど博愛主義じゃないけど。……そういうもん、かねぇ」
「そういうものです。東海道先輩にとって僕は迷惑かもしれませんけれど、嫌われてはいないと思いますし」
だから、諦めません。
そう断言する北陸の顔は自信に満ちていて、揺らぐ気配は微塵もない。
延伸して姿は変わってしまったけれど、芯の強さはおそらく長野時代から持ち合わせていたはずで。
むしろ、成長したからこそ  『自分の欲求へと邁進する』という自我が芽生えたのだろうと山陽は思う。
滅多に本音を出すことをしない東海道が彼をどう思っているかはわからないけれど。
kの、一番若い後輩の思いは頑なに一途で   応じる幸福というのもありなんじゃないか、とも。
尤も、これは第三者の無責任な考えなのかもしれないけれど…
「いいんじゃない?俺は、頑張るといいと思うよ」
「はい」
『愛のカタチって本当にそれぞれだなぁ』などと思いながら、山陽は北陸の方をぽんぽんと叩いた。
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