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うなぎ関係ない名前のふたりがお送りする鉄道路線擬人化二次創作(紙端国体劇場様)ぶろぐ。
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突然ですが。
鰯は有明勤務なので通勤でりんかい線を利用しています。
(もう少し運賃安くならないかなぁと常々思っております←どうでもいい)

さておき、某月某日の出勤時のこと。
いつものようにりんかい線乗ったら、ちょっと発車とか停車とかとかく運転が乱暴な日がございました。

『なんだか今日のりんかいはすごく荒っぽい…ここまで乱暴なりんかいははじめてです…』
とツィッタでうっかりつぶやいたら、ひなこさんより
『問1. 「ここまで〜」以降の文章を使用してりん埼SSを一本作成しなさい。※文字制限はなしとする ※年齢制限は自由(文章問題:20点)』
という課題をいただきました。

ので書いてみた。
年齢制限は自由と書いてあるけど、まさかここまで健全なりんさい話になるとは思わなかったに違いない。(テケペロ

+ + + + + + + + + +
大崎駅の構内で。
雑踏の中、人型以外の影を見つけて埼京は立ち止まった。
「りんかる君?珍しいね、こんなところで。」
車掌さんキャップがトレードマークの、接続先マスコットの水色イルカ。
海に近い駅にいることが多いので、接続駅で見かけるのは本当に珍しい。
「キュイ!‥‥キュイッキュ」
「え、なぁに?」
頭を下げて会釈した後。とことこ、と尾びれを使い埼京に歩み寄る。
キヨスクで購入したばかりらしい袋を差し出されて、埼京は首を傾げた。
くれるの?と聞くとりんかるが力強く頷く。
同意を得て袋を開くと、中から出てきたのはりんかるのぬいぐるみ。
親会社が販売促進のために作っているものだった。
「かわいい!ありがとう、りんかる君」
埼京に礼を言われ、イルカは誇らしげに胸を張った。
「あれ?‥‥でも、りんかる君はわざわざ自分でこのぬいぐるみを買ったの?」
帰るのか、りんかいとの接続ホームへ降りようとするりんかると並んで歩く。
ちょうどホームへ入ってきた新木場行きに乗り込みながら、ふと浮かんだ疑問を尋ねた。
「キュイキュイ!」
りんかるはどこからともなくがま口財布を取り出して、えっへんと胸を反らす。
「いや、えっと‥‥君のぬいぐるみなら、お店で買わなくても社内販売で買えるんじゃないの」
キヨスク販売なら、間違いなく定価。
安く買えるルートもあるだろうに、なぜわざわざ定価で買ったのだろう。
埼京の問いかけに、りんかるは『わかってないなぁ』と胸びれを左右にぱたぱた振る。
どうやら、お店で買うことに意味があるのだと主張しているようだった。
そんな会話を交わしているうちに、東京テレポート駅に到着する。
りんかるに手を引かれ、埼京も一緒に降りた。
エレベーターを上がり、歩くこと数分。彼のホームらしいその駅の休憩室には、りんかるのぬいぐるみが所々に飾られている。
りんかるはそのぬいぐるみを全てひっくるめるように指(ヒレ)差しして、えっへんと胸を張った。
どうやら、これを見せたかったらしいと埼京は推測する。
彼(イルカ)の様子を見るに、今日と同じ手段で購入したことは容易に想像できた。
『ようするに、自分で売り上げに貢献してるってことかな』
しかも、社販ではなく売店で‥‥そのけなげさに埼京はぎゅっとイルカを抱きしめた。
「キュイッキュ!」
抱きしめられて嬉しいのか、りんかるが明るい声を上げて飛び跳ねる。
はしゃぐりんかるの反動を支えきれず、埼京は尻餅をついた。
「うわっ!‥‥くすぐったいよ、りんかる君」
鼻を押し付けて甘えてくるりんかるの頭を撫でながら微笑む。
『まるで、犬みたいだなぁ‥‥でも、こういうの、楽しいかも』
大好きなりんかいのマスコットだから、という理由もあるけれど。
スイカペンギンはこんな風に甘えてくることがないから、尚更りんかるに愛着がわいた。
だが。遊んでいるのか遊ばれているのかよくわからないじゃれあいは、突如現れた人影によって中断する。
「キュイッ?」
がっ。   乱雑な物音と共に、埼京の体を覆っていた負荷が一気に浮上する。
「えっ?」
驚いた埼京が見上げると、りんかいがイルカの襟首(と表現していいかどうかは不明だが、背中側の首あたり)を器用に掴みあげている。
「り、りんかい?」
「やあ、埼京。りんかるを連れてきてくれたのかい?」
目の前に立つりんかいは、いつもと変わらず優しい笑みを浮かべている。
けれど、何故か‥‥片手でりんかるを持ち上げているからか‥‥妙な迫力を感じて、埼京は目を見開いた。
「そろそろ散歩に連れて行く時間だったから、探していたんだ。けど、今日は自分で出かけていたみたいだから必要ないかな」
埼京の違和感を知ってか知らずか。りんかいはぽいっと掴んでいた首根っこを放り投げる。
空中で三回転してしまうのはイルカの性か。りんかるは曲芸のような動きで地面を大きくバウンドする。
ぽーん、ぽーんとボールのように弾むイルカを他所に、りんかいは埼京に手を差し伸べた。
『あれ‥‥?今日のりんかい、何だか荒っぽい‥‥?』
素直に手を取って立ち上がりながらも、マスコットへのあまりにもおざなりな扱いにハテナマークを浮かべて。
こんな乱暴なりんかいは初めてだ、と埼京は思う。
いつもスマートでクールな姿しか見ないから、新鮮だなぁ    そんな感想を抱いてしまうのは、呑気だからか惚れた弱みか。
「キュイキュイッ!!」
「やぁ、悪かったね。りんかるがあんまり軽いから力加減ができなかったよ、HAHAHA!」
所々にバッテン絆創膏を貼りながら猛抗議するイルカに応じるりんかいはいつものようにマイペース。
そんなに軽かったかなぁ、という疑問が浮かぶけれど。
りんかいは片手でひょいっと放り投げていたから、『りんかいにとっては軽いのだろう』と勝手に納得した。
「りんかる君、大丈夫?」
「気にしなくていいよ、埼京。りんかるはこう見えてやんちゃだから、こんなの怪我のうちに入らないんだ」
りんかるが埼京に駆け寄ろうとするが、りんかいが間に入ってそれを遮る。
ぴょい、ぴょいと跳ねるりんかるを無視して仁王立ち。慎重さゆえに、埼京の視界からはりんかるの姿がほとんど見えなくなった。
「そ、そう‥‥?りんかいがそう言うなら‥‥」
何故かりんかる君と距離を置かせようとしてるような‥‥?
言葉では言い表せない、奇妙な感覚を覚えつつも埼京は素直に頷く。
『りんかる君、おとなしそうに見えるのに‥‥でも、スイカペンギンも普段はおとなしいけど、時々宇都宮みたいな目になる時もあるし。りんかる君にも意外な一面があるのかな?』
りんかいの言葉を疑う木など毛頭ない埼京は、そんなことをぼんやりと思う。
視界外で繰り広げられる攻防戦など知る由もなかった。


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