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うなぎ関係ない名前のふたりがお送りする鉄道路線擬人化二次創作(紙端国体劇場様)ぶろぐ。
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ZHミニSS

7月号のKYぷりを払拭‥‥できるといい‥‥なぁ‥‥



+ + + + + + + + + +
「あれ?今日はいせさ・・・・じゃない、スカイツリー線は?」
 相互乗り入れ相手と定時に設けている日常業務報告。
北千住駅のホームに表れたのは世間を賑わしている水色の繋ぎの青年ではなく、赤い繋ぎの長身の青年。
 最近改名した接続相手の姿はなく、日比谷は首を傾げた。
「あぁ、あいつなら今業平橋で営業活動。だから代わりに報告に来た・・・・今日は特に何事もなかったからな」
「そう」
日比谷の頬が自然と緩む。
彼の管轄である南栗橋駅まで通じる電車は日に数本しかないし、伊勢崎線や半蔵門との直通の関係もあって、前もって約束を取り付けない限り彼の管轄であっても顔を合わせる機会は滅多にない。
それに   日光は大抵、伊勢崎と一緒にいることが多いから。
二人(大師も一緒にいることが多いので正確には三人)の空気に日比谷は気後れしてしまう。
だから。例え色気も素っ気もない業務連絡であったとしても、彼   日光と二人きりで言葉を交わせるのは嬉しかった。
「こっちも今のところ異常なし。ところで、夕方のラッシュまで少し時間があるし、急ぎの用事がなかったらコーヒーでもどう?」
「そうか?じゃ遠慮なく」
 このまま別れるのが惜しくて、日比谷は日光を休憩室へと誘う。
日光はさして迷わずにそれを受け、日比谷と肩を並べた。
『コーヒー以外のお誘いでも、オレは構わないけど』
 並んでホームから階段へと上がり始めた刹那、日光はつぃっと日比谷の肩口に顔を近づけてそう囁く。
「えっ?」
耳を疑い、思わず振り返った日比谷は、間近にある日光の顔にどきりと心臓を跳ね上がらせた。
日光は口の端をほんの少し吊り上げて沈黙している。
 どうやら、空耳ではないようだと察し、日比谷は足を止める。
どういう意味かと、聞き返したいような   聞き返したくないような。
 意味深な眼差しを向ける日光に、かけるべき言葉をみつけられない。息を呑む日比谷の喉がごくりと小さく音をたてた。

「ちょーっとまったぁっ!!!」
「うわっ」
 微妙な沈黙を破ったのは、唐突な掛け声。
 同時に後方へと引き寄せられて、日比谷の口から驚声が漏れた。
「ちょっとー!こっちの日比谷ちゃんはオレんだから!車両だけで我慢しといてくんねー?」
 二人の背後からひょっこりと顔を見せたのは半蔵門。
日比谷の華奢な身体を羽交い締めするように抱きしめながら、日光へと不満そうな顔を向ける。
「ちょ、な、なにを言ってるんだ半蔵門!」
「‥‥そうなのか?この身体でスカイツリーのチケット代払ってくれるっていうから、てっきり車両もろとも人身御供してくれるのかと思ったんだが」
 唐突に現れて何を言い出すんだ、そもそも半蔵門のものになった覚えないし!
即座に日比谷の脳内に浮かんだ否定と反論。だがそれを主張するより早く、日光が口をはさむ。
「日比谷ちゃんまで込みならスカイツリーチケット2枚や3枚じゃ足りないよ!一年分は用意してくんないと!」
「なんだ・・・・期待して損した」
「なんだよー、だいたいさー本気じゃないのに日比谷ちゃんまで手出すとかずるくねー?」
「ずるくない。」
 折角日光と二人きりだったのに、勿体ない   そんな本音を漏らす暇すら与えられないまま、当の本人の意向を無視したまま会話は進む。
 二人の会話の内容に、目の前がぐるぐるする。どう口を挟めばいいのか、何をいえばいいのか。日比谷にとっては戸惑うというレベルではなかった。
まとまらない思考が頭の中を巡ってくらくらした。
顔が火照るのは果たして怒りのせいなのか、それとも羞恥なのか。それすらも判別出来ない。
ただ、これ以上この場にいたら色々な意味で墓穴を掘りそうだという本能的な恐怖が勝った。
「ていうか僕は売り物じゃないから!!!!!」
 日比谷はとっさに半蔵門に渾身の一撃を繰り出して、拘束が解けた隙を見計らい脱兎のように駆け出す。半蔵門だけでなく日光も取り残しての逃走だった。
「いってー・・・・てゆーか、なんでオレだけー?!日比谷はいつも乱暴なんだからー」
 遠ざかっていく急ぎ足を見送ってから、尻餅をついている半蔵門へと視線を移して。
日光は呆れたと言わんばかりに肩を竦める。
「お前、本当バカだな」
「えー。でも、あぁいうのって言ったもん勝ちじゃね?」
「本人の目の前でなければな」
 子供のように頬を膨らませる半蔵門にまんまガキだなと呟きつつ、手を差しのべた。
 半蔵門は素直にその手を取って立ち上がる。尻や腰や足についた埃をぱんぱんとはたいて落としてから、腰に手を当てて日光にずずいと顔を近づける。
「でも、日比谷ちゃんはぜっったいに譲らねーからな!」
「フン。こっちは遠慮しねーから。悔しかったら付け入る隙をつくらないこった」
 流石にもう、日比谷を追ってコーヒーをご馳走になる流れではないと踏んで、日光は上りかけていた階段を再び下りてホームへと歩き始める。
「まぁ、口先だけでも車両込みで独占したいって言えねーようなお子様には難しいかもしれないけどな」
「えーっ オレもう独り立ちして30年経ってるし!子供じゃないし!」
すれ違いざまに日光が吐いた捨て台詞に半蔵門は憤慨して反論する。
『そういう意味じゃねぇよ』
 まだ当分付け入る隙はありそうだと思いつつ、日光は胸中でそうツッコミを入れた。

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